豊富にあるオリジナルのれんの用途と特徴

個人の飲食店のほとんどで使われているのれんですが、
一般的には、お店を営業しているか、休んでいるかの目印ともなります。

お店の入り口にぶら下がっている場合は、営業していますの合図になり、
お店の中にある場合は、現在営業をしていません、という合図になるのです。

用途としては、店の外に出すか、出さないかですが、お客からしてみたら、
店に入る時に、潜って入る事で、飲食をする前から、お店の楽しみを
味わう事が出来るのです。

かつては広告媒体の1つだった「のれん」

こののれんは、既製品の物もたくさんありますが、どこのお店でも、
自分の店だけのオリジナルを製作してもらい使っています。

食べられる物の名前を入れてもらったり、お店の名前を入れてもらったりと、
製作してもらう文字は、自由に決められるのです。
のれんの種類の一つ日よけ暖簾と思えばよく分かられると思います。

文字を入れずに、絵柄だけにしている所もあり、居酒屋や食堂、
ラーメン店など、食べられる物と店名をイメージして作り上げて行くのです。

目立てば目立つほど、お客に覚えてもらえるので、売り上げにも
関わってくる大事な物となります。

暖簾は見た目も美しく、看板の代わりにもなる
製作をする時には、専門の業者に依頼をしますが、全体の大きさの他に
文字の大きさや、字体など、事細かく注文をする事により、世界に
たった一つののれんが作れるのです。

素材は、もともとから耐久性の強い物を使用していますが、何十年も
使用していく為により強い素材を選ぶ事が良いとされています。
木綿や麻などがあり、自由に選ぶ事も出来ます。
お店のイメージに合わせて色も決めて、お店の良い雰囲気を伝えるように
するのが良いのです。

のれんには様々な種類がある!加賀地方の花嫁暖簾などユニークな使い方も!

布製以外ののれんでは、例えば縄で出来た縄のれんがありますし他にもビー玉やガラス玉や木簡、竹や瓢箪で作られた物等もあります。
お店のイメージに合わせつつ、お客さんの印象にも残る事ことをテーマとして考えていくと、とても多くの選択肢があるという事です。

大まかには関東の方は「見せる事」を重視しており、関西はその逆で「隠す事」の方を重視していた事等によっても違いがあります。

ちなみに、のれんには他にも特徴があり掛ける場所や使用目的以外にも、寸法によって名前が変わったりもします。
例えばのれんの標準サイズは3尺(113cm)ですが、お店の中を良く見せてお客さんに興味を持ってもらう事に特化した物では標準型の半サイズ程度という事で半のれんがあります。

他にも1m60cmはあり日除けの効果も兼ねる物は長のれん、夜間も外に出しっぱなしにする家の目印兼魔除けの意味を兼ねた水引のれん等もあります。家の中で使われる物では、店の間と居間との間仕切りの目隠しに使われた座敷暖簾等も有名です。
地方特有の種類も豊富で、長のれん以外で日よけに多用された物では、日よけのれんがありました。
長のれんとの最大の違いはその大きさで、切り込みが無く大風呂敷の様な一枚布の上下にチチを付けつつ上端を軒先に、下部を道路に出した物で風が鳴ると太鼓の様な音がする事から太鼓のれん等と言う別名があった事でも知られています。ただ、これは主に道路が広かった江戸だからこそ出来た物であり、道幅が狭かった大阪や京都では普及しませんでした。

他にも加賀地方特有の風習ですが、花嫁がこし入れの時持参する長暖簾で花嫁暖簾というのれんもあります。
上部に実家の紋章が入り、下部には縁起物が染められた綺麗な加賀友禅です。結婚式後数日新郎新婦の居室に掛けられるのれんであり、現在でも能登地方の一部に風習が残っていたりもします。
同じ様なタイプでは、秋田本荘地区の祭礼時や祝いごとに使われる草木染の座敷暖簾である祭り暖簾という種類もあります。

のれんの一般的な印象としては、飲み屋さんやお土産屋さんの軒先に掛かっている旗の仲間と言った様な物が多いですが、突き詰めてみると地方毎の伝統や風習とも密接に結びついているという事です。

ちなみに、効能も様々で日よけが最初に思いつく所ですが、他にも藍染めで作られたのれんは、虫除け効果がありますし、縄で作られた物等も蠅を入り難くする等、物が無かった時代ならではの工夫がある所ものれんを見る上では、外せないポイントと言えます。